ジャズコードをギターで弾く基本|最小フォームから定番進行まで段階的に身につく!

ジャズコードをギターで弾く基本|最小フォームから定番進行まで段階的に身につく!
ジャズコードをギターで弾く基本|最小フォームから定番進行まで段階的に身につく!
音楽理論・スケール

ジャズコードをギターで弾いてみたいものの、maj7やm7♭5のような見慣れない記号が多く、どのコードから覚えればよいのか迷っている人は少なくありません。

一般的なローコードやバレーコードは弾けても、ジャズらしい響きを出そうとするとフォームが急に複雑になり、指が届かない、音が濁る、コード進行の途中で押さえ替えが間に合わないといった壁にぶつかりやすくなります。

しかし、ジャズの伴奏に必要なのは六本の弦をすべて鳴らす大きなフォームではなく、コードの性格を決める三度と七度を中心に、演奏する曲や編成に合った音だけを選ぶ考え方です。

基本となるセブンスコードの構成音、実用的な三音や四音のフォーム、テンションの扱い方、コード同士を滑らかにつなぐ方法、定番のII-V-I進行を使った練習手順まで順番に理解すれば、コード表を無理に丸暗記しなくても多くの曲へ応用できるようになります。

ここでは、ジャズコードを初めて学ぶギタリストが遠回りしないように、最初に覚えるべき響きから実際の伴奏で使える練習法までを、押さえ方だけでなく音楽的な理由とともに整理します。

ジャズコードをギターで弾く基本

ジャズコードを身につける第一歩は、難しそうなコードネームを片端から覚えることではなく、一般的な三和音に七度の音を加えたセブンスコードを理解することです。

メジャーコードやマイナーコードと形だけで区別するのではなく、ルート、三度、五度、七度という役割で構成音を捉えると、同じフォームを別のキーへ移動させたり、不要な音を省いたりしやすくなります。

まずはmaj7、m7、7、m7♭5を中心に覚え、dim7やテンションコードは基本の響きと使われる場面を確認しながら少しずつ加える方法が現実的です。

セブンスコードが土台になる

ジャズで頻繁に使われるコードの多くは、ルート、三度、五度からなる三和音に七度を加えた四和音を土台としており、三和音よりもコードの機能や進行方向がはっきり聞こえる点が特徴です。

例えばCメジャーコードはC、E、Gで構成されますが、そこへBを加えるとCmaj7になり、明るさの中に落ち着いた浮遊感を持つ響きへ変化します。

C7では七度がB♭になるため、同じCをルートにしていてもF系のコードへ進みたくなる緊張感が生まれ、コードネームの小さな違いが進行全体の方向を大きく左右します。

ヤマハのセブンスコードに関する基礎資料でも四和音の仕組みを確認できるため、フォームを覚える前に構成音を鍵盤図や指板上で確かめると理解が安定します。

最初から複雑なテンションへ進むより、七度までの響きを耳で区別し、コードネームを見た瞬間に三度と七度の位置を探せる状態を目標にすると、その後の学習が大幅に楽になります。

最初に覚えるコードの種類

初心者が最初に整理したいのはmaj7、m7、7、m7♭5の四種類であり、この四つを覚えるだけでもメジャーキーのダイアトニックコードや多くのジャズスタンダードに対応できます。

dim7は経過的なコードやドミナントの代理として登場しますが、最初の段階では四種類の基本コードと区別できる程度に響きを知り、曲で必要になったときにフォームを追加すれば十分です。

コード 度数 Cをルートにした構成音 響きの目安
Cmaj7 1・3・5・7 C・E・G・B 明るく柔らかい
Cm7 1・♭3・5・♭7 C・E♭・G・B♭ 落ち着いた暗さ
C7 1・3・5・♭7 C・E・G・B♭ 解決を求める緊張感
Cm7♭5 1・♭3・♭5・♭7 C・E♭・G♭・B♭ 不安定で陰影が深い
Cdim7 1・♭3・♭5・♭♭7 C・E♭・G♭・A 強い緊張感

コード名とフォームだけを結び付けるのではなく、メジャーとマイナーを決める三度、maj7と7を分ける七度、m7とm7♭5を分ける五度に注目すると違いを効率よく覚えられます。

同じルートで五種類を続けて弾き、どの音が半音変化したかを耳と指の両方で確かめる練習を行うと、似たフォームを混同しにくくなります。

メジャーセブンスの役割

maj7はメジャーコードへ長七度を加えたコードで、Cmaj7ならC、E、G、Bという構成になり、ジャズではメジャーキーのImaj7やIVmaj7などで頻繁に使われます。

一般的なCコードよりも洗練された響きが得られる一方、ルートと長七度が半音で接近するため、低音域へ密集させると濁りやすく、ギターでは二つの音を別のオクターブへ離す配置がよく使われます。

六弦ルートのCmaj7なら六弦から順に8、ミュート、9、9、8、ミュートという形が代表的で、ルート、七度、三度、五度が適度に離れて配置されるため、伴奏でも輪郭を保ちやすいフォームです。

maj7の響きが暗く聞こえる場合は七度の音を強く鳴らしすぎている可能性があるため、トップノートやメロディーとの距離を確認し、必要に応じて六度を使ったmaj6へ置き換える方法もあります。

コード単体の美しさだけで判断せず、前後のコードやメロディーを含めて聞き、maj7の七度が旋律と半音で衝突していないかを確かめることが実践では重要です。

マイナーセブンスの役割

m7はマイナーコードへ短七度を加えたコードで、CをルートにするとC、E♭、G、B♭となり、メジャーキーのIIm7、IIIm7、VIm7やブルース、ファンクなど幅広い場面で使われます。

三和音のマイナーコードよりも角が取れた響きになり、暗さの中にも開放感が生まれるため、ジャズの伴奏では単なるCmよりCm7が基本形として扱われることが多くなります。

六弦ルートのCm7は六弦から8、ミュート、8、8、8、ミュートという配置で押さえられますが、三本の弦を人差し指で強く押さえ込むより、必要な弦だけに指先を触れさせると余計な力を減らせます。

m7はII-V-Iの最初に置かれることが多いため、単独のコードとして覚えるだけでなく、Dm7からG7、CMaj7へ進む一連の動きとして練習すると使用場面を理解しやすくなります。

テンションとして9thや11thを加える場合も、まず短三度と短七度が明確に聞こえる状態を保ち、追加した音によってマイナーらしさが曖昧になっていないかを耳で確認します。

ドミナントセブンスの役割

7とだけ表記されるドミナントセブンスは、長三度と短七度を同時に含むことで強い緊張感を生み、完全五度下のコードへ解決しようとする性質を持っています。

C7ならEとB♭の間にトライトーンと呼ばれる不安定な音程ができ、この二音が次のFコードに含まれるFとAへ半音ずつ動くことで、進行に明確な到着感が生まれます。

六弦ルートのC7は六弦から8、ミュート、8、9、8、ミュートという形で、Cm7との違いは三弦の音がE♭からEへ半音上がる点にあります。

ジャズでは9th、13th、♭9th、♯9th、♭13thなどのテンションを加えたドミナントコードも多用されますが、すべてのテンションが常に使えるわけではなく、解決先、キー、メロディーに合わせて選ぶ必要があります。

複雑なG7altを見たときも、最初にBとFという三度と七度を確保し、その上で必要な変化音を一つ加えると、コードの機能を失わずにジャズらしい色彩を作れます。

マイナーセブンスフラットファイブの役割

m7♭5はハーフディミニッシュとも呼ばれ、マイナーセブンスの五度を半音下げたコードであり、マイナーキーのII-V-I進行におけるIIの位置で特に重要です。

Cm7♭5ならC、E♭、G♭、B♭で構成され、Cm7と比べてGがG♭へ下がることで安定感が弱まり、次のドミナントコードへ進みたくなる陰影の深い響きになります。

六弦ルートでは六弦から8、ミュート、8、8、7、ミュートという形で押さえられ、Cm7から二弦だけを一フレット下げれば作れるため、二つのフォームを関連付けて覚えられます。

初心者はdim7と混同しやすいものの、m7♭5には短七度が含まれ、dim7には減七度が含まれるため、コードネームと構成音の両方で区別することが必要です。

AmキーならBm7♭5からE7、Amへ進む形が定番となるため、単独で何度も押さえるより、マイナーII-V-Iの流れの中で不安定さと解決感を聞き取る練習が効果的です。

テンションは後から加える

ジャズらしい響きを早く出そうとして9thや13thを詰め込むと、押さえ方が難しくなるだけでなく、コードの三度や七度が埋もれて機能の分からない響きになりやすいため、追加する順番が重要です。

テンションは基本コードの上へ加える色彩であり、9thは二度を一オクターブ上げた音、11thは四度を一オクターブ上げた音、13thは六度を一オクターブ上げた音として捉えます。

  • maj7では9thや13thを試す
  • m7では9thや11thを試す
  • 7では解決先に合う変化音を選ぶ
  • m7♭5では11thや♭13thを慎重に使う
  • メロディーと半音で衝突する音を避ける

五音以上を含むコードネームでも、ギターで全構成音を同時に鳴らす必要はなく、ルートをベースへ任せたり、機能への影響が比較的小さい完全五度を省いたりして四音程度へ整理できます。

新しいテンションを覚える際は、基本のコードとテンション入りのコードを交互に鳴らし、どの音が追加または置換されたのかを説明できる状態にすると、フォームだけの暗記を防げます。

三度と七度を優先する

ジャズコードを少ない音で表現する際に優先したいのが三度と七度であり、この二音はメジャーかマイナーか、maj7かドミナント7かというコードの性格を決めるガイドトーンです。

ルートはベースや他の低音楽器が担当でき、完全五度は変化していない限りコードの種類を決める力が比較的弱いため、バンドで伴奏するギターは三度と七度を中心に音域を確保すると全体がすっきりします。

コード 三度 七度 二音が示す性格
Cmaj7 E B メジャー系の安定
Cm7 E♭ B♭ マイナー系の安定
C7 E B♭ ドミナントの緊張
Cm7♭5 E♭ B♭ 五度を加えて判別

Dm7からG7へ進む場合はDm7のFとCがG7のFとBへ動き、さらにCMaj7のEとBへ解決するため、共通音を残しながら片方の音だけを半音動かす感覚を体験できます。

押さえられるコードの数を増やす前に、各フォームのどの弦が三度と七度なのかを声に出して確認すると、忘れたフォームを自分で組み立てる力が身につきます。

まず覚えたいコードフォームの使い方

ジャズギターのコードフォームは数が多く見えますが、初心者が最初から指板上の全ポジションを覚える必要はなく、六弦ルートと五弦ルートの移動可能な形を数種類持てば練習を始められます。

同じフォームを平行移動できる点はギターの大きな利点であり、Cの形を覚えた後にルート音の位置を変えれば、D、E♭、Fなど別のコードへ応用できます。

ただし、押さえた弦を鳴らすことだけに集中すると不要弦の開放音が混ざるため、フォームと同時にミュートの方法まで一組として覚えることが大切です。

六弦ルートを基準にする

六弦ルートのフォームは低音の位置が見つけやすく、六弦八フレットがC、十フレットがD、三フレットがGというように、ルートを基準としてコードを平行移動できます。

以下の表では六弦から一弦の順にフレット番号を並べ、xは鳴らさない弦を表しているため、最初は一つずつゆっくり押さえて各音が明瞭に鳴るかを確認します。

コード 六弦から一弦 主な構成
Cmaj7 8・x・9・9・8・x R・7・3・5
Cm7 8・x・8・8・8・x R・♭7・♭3・5
C7 8・x・8・9・8・x R・♭7・3・5
Cm7♭5 8・x・8・8・7・x R・♭7・♭3・♭5
Cdim7 8・x・7・8・7・x R・♭♭7・♭3・♭5

形が似ているため、指の配置だけで覚えると混乱しやすく、Cm7からC7では三度が半音上がり、Cm7からCm7♭5では五度が半音下がるという変化を意識します。

低音が重すぎる場合は六弦を短く切るように弾くか、ベースがいる編成ではルートを省き、中音域の三度、七度、テンションだけを使う方法へ切り替えます。

五弦ルートへ広げる

五弦ルートのフォームを加えると、同じコードを近いポジションで選べるようになり、コード進行ごとにネックを大きく往復する必要が減ります。

Cを例にすると五弦三フレットがルートになり、六弦八フレットのCと同じコードでも音域やトップノートが変わるため、曲のメロディーや他の楽器に合わせた選択が可能です。

  • Cmaj7はx・3・5・4・5・x
  • Cm7はx・3・5・3・4・x
  • C7はx・3・5・3・5・x
  • Cm7♭5はx・3・4・3・4・x
  • xの弦は左手で軽く触れて消音

六弦ルートと五弦ルートを別々の暗記項目にせず、同じコードを二つの場所で交互に弾き、構成音の並びや最高音の違いを聞き比べると使い分けが身につきます。

曲のコードを見たときは常にルートが低いフォームを選ぶのではなく、直前のコードから近く、メロディーを邪魔せず、押さえ替えやすい位置を優先すると伴奏が滑らかになります。

不要な弦を確実に止める

ジャズコードでは四本程度の弦だけを使うフォームが多いため、押さえている音よりも鳴らしてはいけない弦を止める技術が演奏の明瞭さを左右します。

六弦ルートのフォームではルートを押さえる指の腹や先端を五弦へ軽く触れさせ、第一弦にも別の指を触れさせておくと、右手が複数弦へ当たっても不要な開放音が出にくくなります。

起こりやすい雑音 主な原因 改善方法
開放弦が混ざる 使わない弦から指が離れている 押弦指の側面で触れる
音が詰まる フレットから指が遠い フレット寄りを押さえる
弦移動で擦れる 指を強く押したまま動かす 圧力を抜いて移動する
低音が残りすぎる コード後も指を固定している 左手を緩めて音を切る

一本ずつ弾いたときに正しい音が出ても、ストロークすると雑音が混ざる場合は、右手を弱くするのではなく左手のミュート状態を見直す必要があります。

コードを鳴らした直後に左手の力だけを緩めて音を止める練習をすると、ジャズの短く歯切れよい伴奏やリズムの隙間を作りやすくなります。

ジャズらしい響きを作るボイシング

同じコードネームでも、どの音を選び、どの高さへ配置するかによって聞こえ方は大きく変わり、この音の配置をボイシングと呼びます。

ジャズらしさは難しいコードを使うことだけで生まれるものではなく、必要な音を残し、重複を減らし、前後のコードへ各声部を滑らかに動かすことで自然に現れます。

まずは三音のシェルボイシングで機能を明確にし、その後にトップノートやテンションを一音ずつ加えると、実際の曲で使えるフォームを無理なく増やせます。

シェルボイシングから始める

シェルボイシングはルート、三度、七度を中心とした小さなコードフォームであり、完全五度を省いてもコードの種類と機能を十分に伝えられる点が利点です。

六弦ルートのCmaj7なら8、x、9、9、x、x、C7なら8、x、8、9、x、x、Cm7なら8、x、8、8、x、xという三音の形に整理できます。

コード 六弦ルート 五弦ルート 含まれる役割
Cmaj7 8・x・9・9・x・x x・3・x・4・5・x R・7・3
C7 8・x・8・9・x・x x・3・x・3・5・x R・♭7・3
Cm7 8・x・8・8・x・x x・3・x・3・4・x R・♭7・♭3

三音だけでは物足りなく感じても、ベース、ピアノ、管楽器がいる編成では音域の重複を避けられ、各楽器の役割が見えやすくなるため、四音以上のフォームより適する場合があります。

シェルボイシングで一曲を最後まで伴奏できるようになってから、空いている弦へ9thや13thを加えると、基本機能を保ったまま響きを発展させられます。

声部を近い音へ動かす

ボイスリーディングは各コードを一つの塊として飛び回らせるのではなく、コード内の一音ずつを次のコードの近い音へ導く考え方です。

Dm7、G7、CMaj7をすべて大きなバレーコードで弾くと左手の移動量が増えますが、三度と七度を中心に選べば同じ音を残したり半音だけ動かしたりできます。

  • Dm7のCはG7でも共通する
  • Dm7のFはG7の七度として残る
  • G7のFはCMaj7のEへ半音下降
  • G7のBはCMaj7でも共通する
  • トップノートも最短距離で選ぶ

Berklee Onlineのギター向けボイスリーディング資料でも、II-V-Iにおける三度や七度の動きが重要な要素として扱われています。

練習ではコード全体を鳴らした後に三度と七度だけを取り出し、各音が次に上がったのか、下がったのか、同じ位置へ残ったのかを声に出すと動きが見えやすくなります。

トップノートで印象を変える

コードの最も高い音は耳に届きやすく、同じコードネームでもトップノートが三度、五度、七度、テンションのどれになるかによって伴奏の印象が変化します。

例えばCMaj7で最高音をGにすると安定した響きになり、Bにするとmaj7らしい繊細さが強まり、Dを置くとCMaj9の広がりが生まれます。

トップノート CMaj7上の役割 聞こえ方の傾向
E 三度 明るさが明確
G 五度 安定して自然
B 七度 繊細で緊張感がある
D 九度 広がりがある

歌や管楽器のメロディーがある場合は、ギターのトップノートが旋律より目立ったり、半音でぶつかったりしないように音域と音量を調整します。

一人で伴奏するときはトップノートを順次進行させると簡単な対旋律を作れるため、コードを押さえる練習から一歩進んだ音楽的なコンピングへつながります。

定番進行でコードを身につける

個別のコードフォームを覚えても、曲の中で押さえ替えられなければ実用的な技術にはならないため、早い段階から定番進行へ当てはめる必要があります。

ジャズスタンダードではII-V-I、I-VI-II-V、循環進行、マイナーII-V-Iなど共通するまとまりが頻繁に現れ、パターンとして理解すると初めて見る曲でも構造を予測しやすくなります。

最初はCメジャーやAマイナーのように調号が少ないキーを選び、音のつながりとリズムを確認してから他のキーへ移調すると、フォームと理論を同時に定着させられます。

メジャーII-V-Iを弾く

メジャーII-V-Iはジャズで特に重要な進行であり、CメジャーではDm7、G7、CMaj7という三つのコードで構成されます。

IIのDm7が準備を作り、VのG7が緊張感を高め、IのCMaj7へ解決する流れを耳で覚えると、曲中でキーの中心や区切りを見つけやすくなります。

機能 コード 五弦からの実用例 注目する音
IIm7 Dm7 x・5・x・5・6・x F・C
V7 G7 3・x・3・4・x・x B・F
IMaj7 CMaj7 x・3・x・4・5・x E・B

最初は各コードを四拍ずつ伸ばし、次に二拍ずつ、最後に一小節内で二つのコードを弾くなど、テンポではなく切り替えの頻度を段階的に上げます。

一つのキーで弾けた後はフォームを一フレットずつ移動させ、D♭、D、E♭と十二キーへ広げると、実際のセッションで移調を求められても対応しやすくなります。

マイナーII-V-Iを弾く

マイナーII-V-IではIIがm7♭5になり、Vには♭9thなどの変化音を含むドミナントコードが使われることが多いため、メジャーII-V-Iより暗く強い緊張感が生まれます。

Aマイナーを例にするとBm7♭5、E7、AmまたはAmMaj7へ進み、Bm7♭5の不安定な五度とE7のドミナント機能がAmへの解決を導きます。

  • Bm7♭5でDとAを確認
  • E7でG♯とDを確認
  • AmでCとAへ解決
  • E7♭9はFを色彩として追加
  • 終止音がメロディーと合うか確認

E7で最初から多くの変化音を押さえる必要はなく、G♯とDを明確に鳴らした後、余裕があればFやCなどのテンションを加えます。

AmMaj7のG♯がメロディーと衝突する曲ではAm6やAm7が選ばれる場合もあるため、終着コードの種類は譜面の表記と旋律を優先して判断します。

リズムで伴奏を成立させる

正しいコードを押さえていても、すべての拍を同じ長さと強さで鳴らすとジャズの伴奏は平坦になりやすく、休符や音の長さを含めたリズム設計が必要です。

初心者は二拍目と四拍目を意識した短いコード、四分音符を中心とした四つ打ち、裏拍にアクセントを置くシンコペーションの三種類から練習すると違いを整理できます。

伴奏パターン 特徴 向いている場面
二拍目と四拍目 間を広く取れる 小編成や練習
四つ打ち 拍を安定させる スイングや歩くベース
シンコペーション 会話的な動きが出る ソロの後ろ
長いパッド 空間を埋める バラード

伴奏者は自分のリズムだけを完成させるのではなく、ベースの音価、ドラムのシンバル、ソリストのフレーズの隙間を聞き、必要な場所へだけコードを置きます。

メトロノームを二拍目と四拍目だけに感じてII-V-Iを弾く練習を行うと、コードチェンジとスイングの拍感を同時に鍛えられます。

練習でつまずかない進め方

ジャズコードの練習で挫折しやすい原因は才能の不足ではなく、覚える対象を一度に増やしすぎたり、フォーム確認だけで曲を弾かなかったりする学習順序にあります。

一日に多くのコードを触るより、一つのキー、一つの進行、一つのリズムへ範囲を絞り、構成音を確認してから実際の曲へ使う流れを繰り返すほうが定着します。

録音、メトロノーム、コード譜を活用し、押さえられたかどうかだけでなく、音量、長さ、雑音、前後のつながりまで聞き直すと独学でも課題を見つけやすくなります。

短時間のメニューを組む

毎日の練習は長時間続けることより、構成音、フォーム、進行、リズム、曲という複数の要素を短く分け、同じ順番で反復することが重要です。

三十分程度なら、最初の五分でルート音と構成音を確認し、次の五分で六弦ルートと五弦ルートを弾き、その後にII-V-Iと曲の伴奏へ進む構成が扱いやすくなります。

  • 五分でルート音を探す
  • 五分で基本四種類を弾く
  • 五分でガイドトーンを確認
  • 五分でII-V-Iを移調
  • 十分で一曲を通す

テンポはフォームをぎりぎり押さえられる速さではなく、音を聞き、ミュートを確認し、次のコードを考える余裕が残る速さに設定します。

毎日違う教材へ移るのではなく、同じ進行を数日間録音して変化を比べると、押さえ替えの速さだけでなく音の長さやリズムの安定も確認できます。

よくある練習ミスを避ける

ジャズコードの学習では、多くのフォームを知っていることが上達の証明だと考え、実際には使えない形を増やし続けてしまうケースがあります。

フォームを覚えた直後にコードネームを隠し、ルートと三度と七度を答えたり、別のキーへ移動させたりできなければ、指の形だけに依存している可能性があります。

よくある状態 起こる問題 修正方法
フォームだけ暗記 移調できない 度数を声に出す
六弦をすべて鳴らす 低音が濁る 三音フォームを使う
速さを優先する 雑音が残る 一音ずつ確認する
テンションを乱用 旋律と衝突する 基本コードと比較する
曲を弾かない 使用場面が分からない 一曲へ限定して使う

左手が痛くなるほど力を入れる場合は、フォームが自分の手に合っていないか、フレットから離れた位置を押さえている可能性があるため、転回形や別ポジションも試します。

間違えずに弾くことだけを目標にせず、音楽を止めずに最後まで進み、後から録音を聞いて修正する習慣を作ると実際の演奏に近い対応力が育ちます。

一曲の中で使い切る

コードフォームを実用的な知識へ変えるには、一曲のコード進行を選び、シェルボイシング、四音フォーム、テンション入りという複数の段階で伴奏する練習が効果的です。

最初の曲には、転調が少なく、II-V-Iや循環進行が確認しやすく、極端に速くないスタンダードを選ぶとコードの機能へ集中できます。

  • 最初はルート入りの三音で弾く
  • 次に四音フォームへ変える
  • 近いポジションだけでつなぐ
  • トップノートを一つ決める
  • 最後にテンションを加える

コード譜を追うだけでなく、八小節や十六小節ごとのまとまり、II-V-Iが現れる位置、同じ進行が移調されている場所へ印を付けると、曲をパターンとして記憶できます。

伴奏を録音した上でメロディーを歌ったり単音で弾いたりすると、コードのトップノートやテンションが旋律を邪魔していないかを自分で判断できます。

小さなフォームから曲の伴奏へつなげよう

まとめ
まとめ

ジャズコードをギターで弾くために、最初から膨大なテンションコードや複雑な転回形を暗記する必要はなく、maj7、m7、7、m7♭5を中心としたセブンスコードの構成音を理解することが出発点になります。

特に三度と七度はコードの性格や進行方向を決める重要な音であり、ルートと組み合わせた三音のシェルボイシングを使えば、少ない負担でジャズの機能的な響きを表現できます。

六弦ルートと五弦ルートのフォームを覚えた後は、コードごとに大きく移動するのではなく、共通音を残し、半音や全音で近い構成音へ動かすボイスリーディングを意識すると伴奏が滑らかになります。

テンションは基本コードを曖昧にする装飾ではなく、メロディー、解決先、編成に合わせて色彩を加える音であるため、9thや13thを一つずつ追加し、元のコードとの違いを耳で比較することが大切です。

II-V-Iを一つのキーでゆっくり弾き、別のキーへ移調し、最後に一曲を通して伴奏する流れを毎日の練習へ取り入れれば、コード表を眺めるだけでは得られないリズム感、押さえ替え、響きの判断力が少しずつ結び付きます。

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